意外と知らない花粉症とアレルギーの関係

花粉症と他のアレルギーの関係

花粉症にアトピー性皮膚炎、喘息など他のアレルギー疾患との合併がみられることが少なくありません。

 

アトピー性皮膚炎患者さんの約18%に花粉症がみられた、あるいは花粉症も含め、アレルギー性鼻炎患者さんの約40%にアトピー性皮膚炎がみられた、という報告があります。

 

多くはもともとアトピー性皮膚炎があって、花粉曝露がその増悪因子として働くようで、全身に多彩な紅班、丘疹が出現することが多いとされています。中には元来はアトピー性皮膚炎がないにもかかわらずスギ花粉曝露時期に蕁麻疹様の紅班が見られることがあります。若い女性に多いとされています。

 

花粉症も含めアレルギー性鼻炎患者さんの約20%に喘息の合併が、また喘息患者さんの50〜80%に花粉症、アレルギー性鼻炎の合併が見られることが報告されています。喘息患者さんでも花粉飛散期に喘息症状の悪化が見られることが多いことが指摘されています。

 

その理由として、花粉症による鼻づまりが悪影響を及ぼしていること、花粉により鼻で引き起こされた反応により産生された炎症物質が血液を介して喘息に影響を与えること、鼻での神経の刺激が下気道の神経にも影響して気道の収縮を引き起こして喘息症状を悪化させるなどが考えられています。

 

花粉は通常20ミクロン(スギは約30ミクロン)以上の大きさがあるため吸入しても鼻や咽頭といった上気道に吸着して下気道に入りませんが、スギ花粉などには数ミクロンの微粒子(オービクルといわれています)が付着しており、これが下気道に侵入して喘息を引き起こすことが可能とされています。ただ、花粉そのものにより喘息が誘導されることは実際には多くはありません。

 

参考:日本アレルギー学会